
鉄や銅、アルミは、有価物として売却できる代表的な金属です。2017年以降の価格推移から、排出事業者が押さえておきたいポイントを整理します。
この記事の要点
- 3指標とも2020年春に期間中の安値を記録
- 2017年1月から直近まで、銅は約3.4倍、アルミは約2.5倍、鉄は約1.9倍
- 相場が高くても、品物の種類や状態、運搬費によっては有価売却できない場合がある
- 同じ条件で複数社から見積もりを取り、査定方法まで比較することが大切
今回比較する3つの価格指標
| 金属 | 使用する指標 | 補足 |
|---|---|---|
| 鉄 | H2炉前価格・関東地区の安値 | 万円/t。電炉メーカーまたは輸出用湾岸への持込み渡し |
| 銅 | JX金属の電気銅建値・月間平均 | 万円/t |
| アルミ | アルミNSP地金・月平均 | 円/kgを万円/tに換算 |
鉄H2は鉄スクラップ市況の代表的な指標です。銅とアルミは地金価格の指標で、スクラップの査定では品位や歩留まりなども考慮されます。
銅建値は約10年で3.4倍

銅建値の月間平均は、2017年1月の69.9万円/tから、2026年8月には235.9万円/tまで上昇しました。期間中の最安値は2020年4月の58.4万円/tです。2026年8月の価格は、この最安値の約4.0倍に当たります。
銅スクラップの査定は、銅含有率によって大きく変わります。ピカ線、上銅、込銅、被覆電線、モーター類などを同じ単価で比較することはできません。
アルミ地金は約10年で2.5倍

アルミNSP地金の月平均は、2017年1月の26.1万円/tから、2026年8月には64.3万円/tまで上昇しました。期間中の最安値は2020年5月の20.7万円/t、最高値は2026年5月の71.1万円/tです。
アルミスクラップでは、サッシ、印刷版、機械部品、アルミ缶、合金くずなどで査定が異なります。鉄や樹脂、ゴムなどが付着している場合は、選別や加工にかかる費用が査定へ反映されることがあります。
鉄スクラップは2022年にピーク

関東地区のH2炉前価格は、2017年1月の2.55万円/tから、2026年7月には4.95万円/tとなりました。期間中の最安値は2020年4月の1.90万円/t、最高値は2022年4月の6.55万円/tです。2022年のピーク後は下落し、2025年後半から再び上昇しています。
鉄スクラップのグラフは、各月に公表された関東地区の価格レンジの安値を使用しています。地域、納入先、持込み条件によって価格は異なります。
相見積もりで確認する項目
複数社から見積もりを取る場合は、同じ写真、数量、荷姿、引取場所を伝えます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 買取単価 | 税込・税別、kg単価・t単価 |
| 運搬費 | 買取額との相殺方法 |
| 計量 | 総重量、風袋重量、計量票の発行 |
| 控除 | 水分、付着物、歩留まり |
| 品目区分 | 鉄・銅・アルミを分けて査定するか |
| 価格確定日 | 見積日、回収日、検収日のどれを基準とするか |
継続的に金属が発生する事業所では、1社だけに依存せず、比較できる取引先を2〜3社確保しておくと価格変動を把握しやすくなります。
「有価で売れるから廃棄物ではない」とは限らない
廃棄物処理法上の廃棄物に該当するかどうかは、売買契約の有無だけでは決まりません。物の性状、排出状況、通常の取扱い、取引価値、占有者の意思などを総合的に見て判断されます。
市況の下落などによって有価売却から処理委託に変わる場合は、処理業者の許可、委託契約、産業廃棄物管理票(マニフェスト)などを確認します。
まとめ
鉄、銅、アルミの価格は、10年単位で見ると大きく上昇しています。一方で、途中には急落局面もあり、排出事業者が売却時期を正確に見極めるのは簡単ではありません。
金属の種類を分け、同じ条件で複数社へ見積もりを依頼する。単価だけでなく、運搬費や控除条件まで比較することが、手取り額の改善につながります。
価格情報は将来の買取価格を保証するものではありません。個別の廃棄物該当性は、実際の取引内容や品物の状態などにより判断されます。



