GUIDE

鉄・銅・アルミの相場はどう動いた?スクラップ買取価格の10年推移

鉄H2、銅建値、アルミ地金の2017年以降の価格推移をグラフで比較。相見積もりの確認点と有価物・廃棄物の判断も解説します。

実務ガイド5分

鉄や銅、アルミは、有価物として売却できる代表的な金属です。2017年以降の価格推移から、排出事業者が押さえておきたいポイントを整理します。

この記事の要点

  • 3指標とも2020年春に期間中の安値を記録
  • 2017年1月から直近まで、銅は約3.4倍、アルミは約2.5倍、鉄は約1.9倍
  • 相場が高くても、品物の種類や状態、運搬費によっては有価売却できない場合がある
  • 同じ条件で複数社から見積もりを取り、査定方法まで比較することが大切

今回比較する3つの価格指標

金属 使用する指標 補足
H2炉前価格・関東地区の安値 万円/t。電炉メーカーまたは輸出用湾岸への持込み渡し
JX金属の電気銅建値・月間平均 万円/t
アルミ アルミNSP地金・月平均 円/kgを万円/tに換算

鉄H2は鉄スクラップ市況の代表的な指標です。銅とアルミは地金価格の指標で、スクラップの査定では品位や歩留まりなども考慮されます。

銅建値は約10年で3.4倍

銅建値の月間平均推移(2017年1月から2026年8月)

銅建値の月間平均は、2017年1月の69.9万円/tから、2026年8月には235.9万円/tまで上昇しました。期間中の最安値は2020年4月の58.4万円/tです。2026年8月の価格は、この最安値の約4.0倍に当たります。

銅スクラップの査定は、銅含有率によって大きく変わります。ピカ線、上銅、込銅、被覆電線、モーター類などを同じ単価で比較することはできません。

アルミ地金は約10年で2.5倍

アルミ地金NSPの月平均推移(2017年1月から2026年8月)

アルミNSP地金の月平均は、2017年1月の26.1万円/tから、2026年8月には64.3万円/tまで上昇しました。期間中の最安値は2020年5月の20.7万円/t、最高値は2026年5月の71.1万円/tです。

アルミスクラップでは、サッシ、印刷版、機械部品、アルミ缶、合金くずなどで査定が異なります。鉄や樹脂、ゴムなどが付着している場合は、選別や加工にかかる費用が査定へ反映されることがあります。

鉄スクラップは2022年にピーク

関東地区の鉄スクラップH2価格推移(2017年1月から2026年7月)

関東地区のH2炉前価格は、2017年1月の2.55万円/tから、2026年7月には4.95万円/tとなりました。期間中の最安値は2020年4月の1.90万円/t、最高値は2022年4月の6.55万円/tです。2022年のピーク後は下落し、2025年後半から再び上昇しています。

鉄スクラップのグラフは、各月に公表された関東地区の価格レンジの安値を使用しています。地域、納入先、持込み条件によって価格は異なります。

相見積もりで確認する項目

複数社から見積もりを取る場合は、同じ写真、数量、荷姿、引取場所を伝えます。

確認項目 見るポイント
買取単価 税込・税別、kg単価・t単価
運搬費 買取額との相殺方法
計量 総重量、風袋重量、計量票の発行
控除 水分、付着物、歩留まり
品目区分 鉄・銅・アルミを分けて査定するか
価格確定日 見積日、回収日、検収日のどれを基準とするか

継続的に金属が発生する事業所では、1社だけに依存せず、比較できる取引先を2〜3社確保しておくと価格変動を把握しやすくなります。

廃棄物処理法上の廃棄物に該当するかどうかは、売買契約の有無だけでは決まりません。物の性状、排出状況、通常の取扱い、取引価値、占有者の意思などを総合的に見て判断されます。

市況の下落などによって有価売却から処理委託に変わる場合は、処理業者の許可、委託契約、産業廃棄物管理票(マニフェスト)などを確認します。

まとめ

鉄、銅、アルミの価格は、10年単位で見ると大きく上昇しています。一方で、途中には急落局面もあり、排出事業者が売却時期を正確に見極めるのは簡単ではありません。

金属の種類を分け、同じ条件で複数社へ見積もりを依頼する。単価だけでなく、運搬費や控除条件まで比較することが、手取り額の改善につながります。

価格情報は将来の買取価格を保証するものではありません。個別の廃棄物該当性は、実際の取引内容や品物の状態などにより判断されます。

参考資料