GUIDE

二次電池の取扱い―保管・絶縁・回収ルートで火災を防ぐ

リチウムイオン電池などの二次電池について、事業所での分別、端子絶縁、保管、回収ルート確認の基本を解説します。

基礎ガイド約12分

充電して繰り返し使える電池を「二次電池」と呼びます。中でもリチウムイオン電池は、モバイルバッテリー、電動工具、コードレス機器、非常用設備など幅広い製品に使われています。便利な一方、短絡、圧力、衝撃、破損などによって発熱・発火するおそれがあり、他の廃棄物へ混ぜることは重大な火災リスクになります。

この記事の結論

  • 電池を他の金属くず、廃プラスチック、混合廃棄物へ混ぜないことが第一です。
  • 取り外した電池は、露出した金属端子やリード線を適切に絶縁します。
  • 膨張、変形、破損、発熱、液漏れのある電池は、通常品と分けてメーカーや専門業者へ相談します。
  • 事業者は家庭向けの回収ボックスへ持ち込まず、JBRC等の対象条件または産業廃棄物処理ルートを確認します。

1. 二次電池とは

二次電池は、充電によって繰り返し使用できる電池です。代表的な種類には、リチウムイオン電池、ニカド電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池などがあります。製品の形も、円筒形セル、角形電池、電池パック、機器内蔵型などさまざまです。

見た目が似ていても、回収対象や安全処置が異なることがあります。最初に、電池の表示、メーカー、型式、化学系、純正品か、機器から安全に取り外せるかを確認します。

電子機器・基板の廃棄物
写真:Syced / CC0 1.0(出典

2. なぜ廃棄時に火災が起きるのか

リチウムイオン電池は内部に大きなエネルギーを蓄えています。金属端子が他の金属へ触れて短絡したり、収集車や破砕機で押しつぶされたりすると、発煙・発火につながることがあります。

環境省は、廃棄物処理施設や収集運搬車両でリチウムイオン電池等に起因する火災事故が頻繁に発生しているとして、分別排出、回収、保管、再資源化を含む対策を進めています。

混ぜると危険なもの

金属くず、スプレー缶、廃プラスチック、混合廃棄物、シュレッダーダスト等に二次電池が混入すると、運搬や破砕の工程で異常を発見しにくくなります。

3. 排出前に行う安全措置

① 種類ごとに分ける

電池単体、モバイルバッテリー、工具用電池パック、電池内蔵製品を混在させず、回収先の条件に合わせて分けます。取り外しに製品の分解が必要な場合は、無理に分解しないでください。

② 金属端子を絶縁する

露出したプラス極・マイナス極、コネクター、リード線の金属部分を、電気絶縁用テープ等で覆います。電池全体を過剰に覆うと種類やメーカーを確認できなくなるため、金属部分を中心に処置します。

③ 水濡れと高温を避ける

雨が入る場所、直射日光が当たる場所、熱源の近くを避けます。保管容器は回収先の指示に従い、転倒や端子同士の接触を防げるものを使います。

④ 数量と状態を記録する

種類、個数・重量、メーカー、異常の有無、保管開始日、回収日を記録します。大量保管は火災時の影響を大きくするため、回収頻度も管理してください。

4. 回収ルートの選び方

事業所から排出される使用済み小型充電式電池について、JBRCの回収を利用する場合は、事業者排出者としての登録と対象条件の確認が必要です。家庭向けの協力店・自治体回収へ、事業者が持ち込むことはできません。

また、JBRCはすべての電池を回収する制度ではありません。会員企業の対象電池、純正品、破損状態、電池の形状等によって対象外となる場合があります。回収対象外品は、メーカーへ確認するか、許可を持つ産業廃棄物処理業者へ委託します。

確認項目 確認内容
回収制度 JBRC、メーカー回収、広域認定、産廃処理のどれを使うか
対象製品 化学系、メーカー、型式、純正・非純正、内蔵品か
状態 正常、膨張、変形、破損、液漏れ、発熱の有無
荷姿 絶縁方法、容器、重量上限、梱包単位
記録 委託契約、マニフェスト、回収伝票、処理実績

5. 膨張・破損・発熱した電池は通常品と分ける

膨張、変形、外装破損、液漏れ、異臭、発熱などがある電池は、通常の回収容器へ混ぜないでください。自然発火や再発火の可能性があるため、自己判断で穴を開けたり、分解したり、塩水へ浸したりすることも避けます。

周囲の可燃物から離し、人が不用意に触れないよう管理した上で、製造者、販売者、回収制度の窓口、許可処理業者へ状態を具体的に伝え、指示を受けます。発煙・発火している場合は、人命と安全を優先し、消防へ連絡してください。

6. 事業所に作っておきたい管理ルール

  • 電池を含む製品の一覧と保管場所を決める
  • 取り外した電池はその場で端子絶縁する
  • 通常品と異常品を分ける
  • 電池専用容器へ入れ、混合廃棄物に入れない
  • 回収先の対象条件と梱包条件を掲示する
  • 協力会社や清掃担当者にも混入禁止を周知する
  • 月次で数量と長期滞留を点検する

事故の多くは、電池の存在が把握されないまま別の廃棄物へ混ざることから始まります。担当部門だけでなく、購買、設備、情報システム、工事業者、清掃会社まで含めて排出ルールを共有することが重要です。

7. 電池が内蔵された製品を見落とさない

二次電池は、電池単体だけで排出されるとは限りません。コードレス掃除機、電動工具、ハンディ端末、非常灯、誘導灯、無停電電源装置、測定器、ウェアラブル端末、加熱式たばこ、モバイルバッテリーなど、製品の中に組み込まれた状態で廃棄されることがあります。

機器を金属くずや廃プラスチックとして一括処理すると、処理施設で破砕された段階で電池が発火する可能性があります。資産廃棄や設備更新の申請書に「電池内蔵の有無」を追加し、廃棄前に製品仕様書や電池マークを確認する運用が有効です。

取り外せない電池は無理に分解しない

製品の外装を破壊しなければ電池を取り外せない場合や、電池パックが接着・溶接されている場合は、専門知識のない担当者が分解すると短絡や損傷を招くおそれがあります。製品のまま回収できるルートをメーカーまたは処理業者へ確認してください。

8. 回収業者へ伝える情報

  • 電池の種類、メーカー、型式、定格、数量・重量
  • 単体電池か、電池パックか、製品内蔵か
  • 膨張、破損、液漏れ、発熱、水濡れの有無
  • 端子絶縁の状態と保管容器
  • 保管場所、搬出経路、積込方法
  • 純正品・非純正品、メーカー不明品の有無

状態を正確に伝えることで、回収対象外による積み残しや、運搬中の安全リスクを減らせます。

電池の排出区分、処理委託上の品目、保管方法は、電池の種類・状態、回収制度、自治体運用によって異なります。回収先および管轄自治体の最新情報を確認してください。